博士の愛した数式

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)



無味乾燥な数式に文学的な感性を付与する、というのが最高にいけてると思った。
隙のない作品で、作者のこの作品にかける熱意が伝わってくるように感じられます。特に書き出しが素晴らしい。
福田和也が「周到な作家」と小川洋子のことを評していましたが、その通りだと思いました。『IP』を描いた阿部和重にも似たような節があります。こうした作品はそうそう書けるものではないと思うので、今後もこのレベルの作品を連発してもらえるのかと言うとそれは怪しいのかもしれません。
映画化されるのも納得の快作です。