卑弥呼伝説
- 作者: 井沢元彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1997/11/20
- メディア: 文庫
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たまには趣向を変えてミステリーを紹介します。井沢元彦は歴史小説家にして推理小説家です。有名なものとしては「逆説の日本史シリーズ」でしょうか。このシリーズはなにぶん読んだことがないのでなんともコメントできないのですが。
本作『卑弥呼伝説』は、ある殺人事件を邪馬台国の謎と関連して解き明かしてゆく構成になっています。ですから登場人物の会話がやたら説明臭いところもあるのですが、事件の全容解明と邪馬台国の謎解きが平行、交錯して展開されていきます。特に邪馬台国の存在した位置に関する論考は、かなり飛躍的な発想ではありますが、機知に富んでいて大変楽しく読めます。日本古代史好きにはたまらない内容でしょう。『神々の指紋』のようなトンデモ本とは違い、一つひとつの考察が大変丁寧になっているので途中で詭弁に気づいて萎えるようなこともありません。
ちなみにこの人はテレビで保守的な発言(太平洋戦争に関する歴史認識等)をするため、言論的にはほぼ「追放」状態にありますが、時々小林よしのりなんかと似たような立ち位置で出現します。
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